今回は伊坂幸太郎さんの「マイクロスパイ・アンサンブル」を読んだので、感想や好きな言葉などを紹介していきます。
伊坂幸太郎さんの新作である本作品が気になる方はぜひご一読ください。
概要
2025年8月10日に出された本作品。
冒頭から高齢のおばあちゃんの昔話から始まり、そこからは失恋後の男性の話と弱弱しいスパイの二軸で話が進んでいきます。
伊坂幸太郎さんの本でよくある二つの話が交互に出てくる書かれ方です。
スパイの方の話では、本当に同じ時代の話?と疑いたくような話が連発。
変な虫や超常現象のようなことがたくさん出てくる。
かと思えば次に出てくるのは、ごく普通のサラリーマンの話に変わる。
「現代版おとぎ話」と書かれていましたが、まさにその言葉が似あう。
あらすじが少し書きずらく、わかりにくくなっていますが、どこかとらえどころのない、ちょっとした日常に目を向けたくなるような本になっています。
感想
ここからはぜひ一度読んでから読まれることをお勧めします。
ネタバレになってしまうため、ご注意ください。
~感想~
とにかくほんわかとした温かい物語でした。
初めに登場人物たちのサイズ、住む世界のスケール感が違うとわかった時はかなり上がりました。
初めの方に大きな虫に乗って移動するとか読んでいるときは、「本当におとぎ話みたいな話だな~」なんてのんきに読んでいましたが、中盤以降で気づいてからはかなりサクサクと呼んでいくことができました。
実際に読み終わった後に初めの方のページを読み返してみましたが、ちゃんと話がリンクしていて面白いと思いました。
二年目のシーンで、エージェントハルトたちが危機的状況のときに急に光が差し込み、黒靄が近づいてくる。そのすきに脱出を試みるシーン。
ここの光が車のヘッドライトで、近づいてくる黒靄が本当に人だったと。
読み返してみるとこんなに話がリンクしているのだからここで気づけよ!と自分でも思ってしまうほどですが、なぜか気づかない。
まあこんなに序盤で気づいてしまったら面白くないのでいいのですが、やはり伊坂幸太郎さんのこのような伏線がちりばめられており、二軸の話がつながっていく感覚は何度読んでも飽きません。
今また別に読んでいる本も同じような形式で書かれている本なので、読み終わったらまた紹介します。
~好きなシーン~
失礼なことを言ってしまった彼女
会社の交流会と言う名の飲み会の席で遅れてきた女性に対して、ひどいことを言ってしまった主人公。
かなり横方向に広がっている彼女に対して言った一言は「あの、どこの部屋ですか?」
これに対して笑顔で対応して、その場は何な気を得ましたが、後日偶然福島の郡上の駅でばったり会うことに。
謝りたいといってお茶やアクセサリー探しをする中で出てくるスポンジマンの話です。
「浮きていると嫌なこととかいいこととカいっぱいあるでしょ。それを選り分けて、避けたりしていくことなんてできないから、全部吸い取るの」
「受け入れるわけじゃないけど、卑屈にならずに、全部吸い取るの」
いやなことを言われたとき、上司から怒られたとき、先方からクレームが入った時など、登場人物みんなも、私たちも社会で生きていく中で日々つらいことは多くあります。
そんな時にはいったん吸い込んでしまう。
それはきついことだけれど、みんながスポンジマンになれば平和な世の中になるだろうな~と思って読んでいました。
「プライド?そんなの、ただの言葉だろ」
エージェントハルトがかっこいい。
「なめられて困ることはない。大事なのはやるべきことをやることだ。」
「自分のことをちゃんと評価してやることは大事だけどな、謝って削れるようなプライドなんて、大したものじゃない。面子が、だとか。立つ瀬がないとか言ってる奴ほど自信がないんだよ。本当に自分を信じているなら、周りがどう思おうと関係ない。」
さっきの女性の話も少し自分の中では重なりました。
飲み会でひどいいじりをされたけれど、そこで彼女がやるべきことは何なのか。
怒って交流会をめちゃくちゃにすることなのか。
そうすることが正解かもしれないが、彼女は交流会を穏便に終わらせることがやるべきことと感じたから、スポンジマンになった。
結局は自分に自信があるかどうかが大切なのであって、周りからの見え方なんか気にする必要はないのだと改めて感じた。
総評
いかがだったでしょうか。
個人的な感想を中心に書いてみましたが、一番最後に書いた、
結局は自分に自信があるかどうかが大切なのであって、周りからの見え方なんか気にする必要はないのだと改めて感じた。
これに尽きると感じた。
前半は特にそれを感じさせる場面が多くあったので、読んでない方はぜひ読んでみてください。
それを踏まえたうえで、そんな日常の中にみんながちょっとずつ希望、奇跡を願う。
奇跡がかなったうえで自分の等身大で生きていく。
なんだか本当に読んでいて幸せな物語でした。
